まんじゅうこわい

助六と与七と友三郎はすごく仲が良くて、いつも助六の家で集まっては今日あった話や、明日やることの話をしてたのよ

ある日、場をまとめるのが上手な助六が「おい!お前らぃ!ところでお前らの一番こわーいものはなんだい?」って聞いた

与七が「俺は母ちゃんだなー。頭が上がんなくて、いつも怒られてばっかだわー」

「助六はなんだい?なにが怖いんだい?」

「俺は〜、そうだな、お化けだな!人間だったら叩きのめしゃあ終いだが、お化けはそういうわけにゃあいかねーもんな!」

与七「そうかい、そうかい。そりゃあ、確かに怖いわな!」

「んで?友三郎は?一体なにが怖いんだい?」

友三郎「おれかい?おれは〜、そうだな…」

…。

「そうだ!おれは饅頭が怖い!」

一同「あーん??饅頭!?笑」

「饅頭が怖いなんてやつは今まで聞いたこともねーやい!笑」

「なーにが饅頭が怖いんだい!笑」

友三郎「おれはな…。子供の頃から饅頭が怖くて怖くてしょうがないのよ。。。」

「母ちゃんが饅頭を買って帰ってきた日にゃあ、もう!怖くて怖くて布団にこもっちまうほどだい!」

「だはははは!!!そうかい!そうかい!饅頭が怖いのかい!そんな奴も世の中にはいるんだなー!笑」

友三郎が帰り、助六と与七が残った。二人は密談をし、今度、友三郎の家に饅頭を差し入れに行こうということに…。

二人は夜遅くに友三郎の枕元に饅頭を置いておくことにした。

朝起きて、友三郎が飛び上がって驚くのを見たいからだ。

与七「ひっひっひ。あんだけの饅頭を枕元に置かれてたら、友三郎は死んじまうんじゃないのかい?」

助六「おー(笑)ありえるのぉ!あいつはただでさえ肝っ玉が小さい男やからのぉ!笑」

二人はそのまま友三郎の家の窓から覗き、朝が来るのを待った。

朝が来て…。

友三郎「ふぁー、今日は、なんだか嫌な夢をみちまったい…。」

「ん?なんだー?この風呂敷はー?」

「!!!」

「こりゃ!!」

「大量の饅頭じゃねぇか!!」

「ひゃー!!!こわいこわいこわい!」

「饅頭こわい!!!」

「こわいよー!!!」

と言いながら友三郎は、そこにあった饅頭を食べ始めた。

窓から覗いていた二人は…

助六「ひゃー!はっはっは!怖がっとるぞ!饅頭を怖がっとる!」

与七「いや…助六。見てみろ。友三郎のやつ、怖がっちゃいないぞ。見てみろ、あんなに美味そうに饅頭を食ってやがる」

「こわくないのか!?」と驚いた二人は、友三郎の家に駆け込み友三郎を問いただした。

「おい!友三郎!お前さん!饅頭が怖いんじゃなかったのかい!」

友三郎「ん?ん!怖いよー!おれは饅頭が死ぬほど怖いんじゃ!」

と言いながら、今も美味そうに饅頭を頬張る友三郎。

与七「なんじゃ!全然こわそうじゃないじゃないか!」

助六「おい!友三郎!本当のことを言え!お前が本当に怖いのはなんじゃ!お前は一体なにが怖いんじゃ!」

友三郎「んー。他に怖いものかぁー。」

 

 

友三郎「今は、あつぅーいお茶が怖い…」